MSCTY x 日本橋
日本橋エリアを音で紡ぐ
「日本橋エリアを音で紡ぐ」は、このエリアの様々な音響的様相を探求し、東京における非常にダイナミックで先進的な場所でありながら、 この深く豊かな文化と遺産の物語を語る一連の音楽的な表現をつくり出すアートプロジェクトです。
9組の音楽家と、サウンドアート・コレクティブ MSCTY_Studioのニック・ラスカムとジェームス・グリアが、日本橋のさまざまな老舗の奏でる 音を採取し、その歴史と今を、音と音楽を通して、サウンドスケープとして伝えます。音楽の其々の一片は、老舗の基層の一部であるように感じ
られ、そして私たちの記憶の中に絡みついていきます。その店を思い浮かべると、心の中で音楽が聴こえてくる...そしてその逆も然りです。サ ウンドスケープは、ウェブサイトでアーカイブされたものを世界中のどこからでも聴くこともできますが、是非実際の老舗を巡りながら、その世 界をお楽しみ下さい。
東京ビエンナーレ2023 日本橋エリアを音で紡ぐ
NIHONBASHI SOUND WEAVE! [15 images]
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「日本橋エリアを音で紡ぐ」
場所トとトラック
(1) MSCTYセンター(中央区日本橋室町1丁目6-7) 11:00~18:00/会期中無休
日本橋エリアの中心地に「日本橋エリアを音で紡ぐ」インフォメーションセンターを設置し、プロジェクトに参加した老舗と作品をめぐる拠点 になるだけでなく、アーティストや地域の人たちとのインタビューを生放送するラジオ・ブロードキャスティング・プログラム MSCTY RADIO TOKYO、老舗が奏でる音の紹介やメイキング映像、サウンドスケープ作品を楽しめる拠点となります。アーティストによるサウンドツアーもこ こからスタートします。
(2) 田源(中央区日本橋堀留町2丁目3-8) 10:00~17:30/不定休
MSCTY centerから少し離れますが、人形町から程近い織物中央通りにある「田源」をまず訪ねましょう。文化13年(1816年)に初代田中 源治広次が近江愛知川(滋賀県愛知郡)で創業し、明治4年に東京店を開設し、日本橋を代表する呉服問屋として現在に至ります。初代よ り「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」の精神を貫き、日本の着物文化と伝統を継承しています。お店の2階に上がると、当時使 われていた貴重な道具や看板を見ることができます。ここは中央区まちかど展示館の一つで、30近くの場所でまちの歴史・文化などを紹介しています。こちらもお立ち寄り下さい。
(3) 江戸屋(中央区日本橋大伝馬町2-16) 9:00~17:00/定休日...土・日・祝
田源を出て、昭和通りの方に少し戻りましょう。すぐ近くを通る旧日光街道に、江戸時代から続く刷毛刷子専門店「江戸屋」があります。七代 将軍家継の時代、初代利兵近衛は将軍家お抱えの「刷毛師」に任じられ、享保3年(1718年)に「江戸屋」の屋号を与えられ、江戸刷毛の 専門店として創業。馬や豚など天然の素材を用いた手づくりの「用の美」を備えた「江戸刷毛」を今に伝えます。国登録有形文化財に指定 されている関東大震災後に再建した建物も、その時代を物語っています。 一筋北側のえびす通りには、この地を護る宝田恵比寿神社があり、その例大祭として毎年10月19日と20日にかけて「べったら市」が開かれ ます。約四百の露天が立ち並び、大変な賑わいを見せます。こうした日に合わせて是非訪ねてみて下さい。
(4) 小津和紙(中央区日本橋本町3丁目6-2 小津本館ビル) 10:00~18:00/定休日...日
昭和通りに出ると、小津和紙の建物が見えてきます。承応2年(1653年)、小津清左衛門長弘が伊勢松坂より出府し、江戸大伝馬町に屋号 「小津屋」として紙商を開業。現在の店舗では、日本の手漉き和紙にこだわり、日本全国の和紙を扱っています。またまちかど展示館にもなっ ている小津史料館は、小津和紙の歴史が綴られており、必見の場所になっています。その他、和紙の漉き体験、教室、ギャラリーなども備えて おり、多種多様な和紙文化を今に伝えています。
(5) 日本橋木屋(中央区日本橋室町2丁目2-1コレド室町1 1F) 平日11:00~19:00、土日祝10:30~19:00/定休日なし
小津和紙を出て中央通りまで戻ると、様々な絵師によって描かれた江戸の町人街の中心地となります。日本橋の賑わいを伝える「熈代勝覧」 にも描かれた、打刃物・生活の道具専門店の木屋の創業は、寛政4年(1792年)とされています。初代加藤伊助が本家の木屋から「のれん わけ」して、店舗を持ったことがはじまりとされ、日本橋で230年以上にわたり打刃物類を扱ってきました。本家の木屋は、江戸時代には小間 物、塗物、蝋燭など総合商社的な存在で、独立する際、同じ商品を扱えないことから打刃物を扱うようになったと言われています。
(6) にんべん(中央区日本橋室町2丁目2-1コレド室町1 1F) 平日11:00~19:00、土日祝10:30~19:00/定休日なし
日本橋木屋の隣には、にんべんがあります。創業は元禄12年(1699年)。初代髙津伊兵衛が、日本橋四日市の土手蔵(現在の日本橋一丁 目)で、戸板を並べて鰹節と干魚類の商いを始めたことがはじまりです。宝永2年(1705年)、店の屋号を「伊勢屋伊兵衛」とし、暖簾印(商 標)に伊勢屋と伊兵衛のイ(にんべん)をとり、商売を堅実にするための曲尺の¬(かね)と合わせて、「カネにんべん」としました。それを見 た江戸の町民たちは、お店を「にんべん」と呼ぶようになりました。お店に入ると、鰹節を削るコーナーもあり、お店全体が出汁の美味しい香 りに包まれています。
(7) 有便堂(中央区日本橋室町1丁目6-6) 10:00~18:00/定休日...土・日・祝
日本橋三越正面、中央通りを挟んだ通りに有便堂があります。大正元年(1912年)、初代石川祐造が東京九段下から和紙、筆、墨などを風 呂敷に包み、外商を始めたのがはじまりです。大正5年から上野に店を構え、武者小路実篤、島崎藤村、藤田嗣治、棟方志功など数多くの 書家、画伯、文人から愛されてきました。戦後、日本橋にて営業を再開し、職人とともに、昔と変わらぬ、書画、絵具、額装などの日本文化を継 承しています。店内には、美しい色合いを見せる岩絵具の瓶が所狭しと並んでいて、賑わいを見せる日本橋の中で、凛とした静謐な空間を 見せています。
(8) 日本橋三越(中央区日本橋室町1丁目4-1) 10:00~19:00/定休日なし
にんべんから日本橋に向かうと、威風堂々とした建物の日本橋三越があります。延宝元年(1673年)に、三井高利が創業した越後屋。その 後、三井家の姓をとった三井呉服店となり、明治37年(1904年)、「三」と「越」をとって「三越呉服店」、そして現在の「三越」となります。創業 間もない1683年に「店前現銀無掛値」を掲げ、正札販売を世界で初めて開始し、その後も常に時代を先取りした経営を行ってきました。店 内の中央ホールの2階バルコニーに備えられた90年の歴史を持つパイプオルガンの演奏は、週末を中心に行われますので、是非、サウンド ウォークの際にもう一つのサウンドスケープをお楽しみ下さい。
(9) 榮太樓總本舗(中央区日本橋1丁目2-5) 10:00~18:00/定休日...日・祝
室町から日本橋を渡り、右の通りに入ると、榮太樓總本舗が見えてきます。文政元年(1818年)、埼玉県飯能で菓子商をしていた細田徳兵 衛が江戸に出府。井筒屋を九段坂に創業。その後、徳兵衛の曾孫にあたる3代目細田安兵衛(幼名栄太郎)が、ここ日本橋の袂に屋台を開 きます。安政4年に、旧名日本橋西河岸町(現在の總本舗)に店舗を構え、自らの幼名にちなんで屋号を「榮太樓」と改めたのがはじまりで す。店内には喫茶も併設されていますので、サウンドウォークで疲れた足を休めましょう。
(10) 日本橋高島屋S.C(.中央区日本橋2丁目4-1) 10:30~19:30/定休日なし
いよいよサウンドウォークも最後の場所となりました。日本橋高島屋S.C.。日本橋三越と並ぶ老舗百貨店の代表格です。天保2年(1831年)、 初代飯田新七が、京都にて、古着木綿商を創業。義父の出身地である近江国高島郡から「髙島屋」を屋号としました。安政2年(1855年) に呉服太物商となり、大阪店開業後、明治33年(1900年)に東京に進出。震災後の昭和8年(1933年)、日本橋に建築家高橋貞太郎の設 計によって新築開店し、増築部設計は村野藤吾が担いました。この建築は、平成21年(2009年)に百貨店建築初の重要文化財の指名を 受けています。名建築家が関わった百貨店建築、そして旧式手動型エレベーターを操るエレベーターガールの存在が際立っています。また 毎月第2木曜日にコンシェルジュによる重要文化財見学ツアーが行われていますので、もっと深く知りたい方は是非お申し込み下さい。